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行政法は遠い世界の法律ではなかった 暗号通貨取扱業者へ行政処分等の求め、非申請型義務付け訴訟

  • 2026年8月29日
  • 2026年8月29日
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行政書士が本当に「処分等の求め」を使うことになった話――Coincheckの取引をきっかけに行政法が現実になった

行政書士試験の勉強をしている方なら、一度は見たことがあるはずです。

「処分等の求め」――行政手続法36条の3

試験では、「何人も申し出ることができる」「行政庁は必要な調査を行う」と覚える、あの条文です。

その制度を、行政書士である私自身が、本当に使うことになりました。

しかも仕事として起こったことでもなんでもありません。

個人的な仮想通貨(暗号通貨)の売却時に43000円と表示されているのに、実際は31,000円で買い取られ、

合計40万円以上の損害が出たことに対し、この取引所は消費者保護の観点から違法なのではないかと思ったからです。

暗号資産取引所はCoincheckです

https://coincheck.com/ja/

話は「処分等の求め」だけでは終わりません。最終的には、

「行政庁に対する義務付け訴訟まで行くのか?」

というところまで来ています。

今回は、暗号資産をまったく知らない方にも分かるように、私の身に実際に起きた出来事を題材として、行政手続法と行政事件訴訟法を解説します。

行政書士試験の受験生のみなさん。この記事を最後まで読めば、たぶんもう「処分等の求め」を忘れません。

記述でも択一でもこの流れが論点にでればラッキー となることでしょう


最初に大切な注意点

まず、非常に重要なことを申し上げておきます。

現在、この件については、私から関係する行政機関に申出を行い、事実関係の調査や行政上の対応を求めている段階です。

Coincheckに法令違反があったと確定したわけではありません。

私は最初から、「違法だ。処分しろ」と結論を決めているわけではありません。

私が行政機関に求めているのは、

この取引状況は、本当に利用者保護上問題がないのでしょうか。
監督行政庁として、事実関係をきちんと調べてください。

ということです。

そこで、この記事でも次の3つを分けて書きます。

  1. 実際に起きた事実
  2. 私が問題だと考えている点
  3. 問題を検討するための法律上の制度

「疑問を示して調査を求めること」と、「法令違反を断定すること」は違います。ここは、最初に明確にしておきたいと思います。


第1章 ビットコインキャッシュを売ったら、予想外の価格で約定した

私は暗号資産を保有しています。その中に、ビットコインキャッシュという暗号資産があります。

ビットコインは「BTC」、ビットコインキャッシュは「BCH」と表記されます。

暗号資産に詳しくない方は、今回はとりあえず、「ビットコインとは別の暗号資産」と思っておいてください。

ビットコインから分岐した経緯などを説明し始めると、そこで読者の半分が帰りそうなので、今回は省略します。

事件が起きたのは、2026年8月24日です。

私は、Coincheckの取引所で保有していたビットコインキャッシュを売却しようとしました。当時、外部市場で確認できた価格は、おおむね1BCH当たり4.2万円台でした。

私としては当然、「多少の価格差はあっても、4.2万円前後では売れるだろう」と考えていました。

ところが、実際に売却すると、約定価格が次々と下方向へ飛んでいきました。

Screenshot

売却した数量は35.66 BCH。約定は全71件に分かれ、実際の受取額は1,137,031.37円でした。

平均約定単価は1BCH当たり31,885.34円。最も低いものは、22,800円で約定していました。

比較価格を1BCH当たり43,500円とすると、その差額は414,178.63円です。

私は画面を見ました。もう一度見ました。念のため、スマートフォンの画面を明るくしました。

しかし、画面を明るくしても約定価格は戻りません。当たり前です。

たった150万円相当を売却しただけで大暴落がおきたのです。

もちろん本当の市場価格でBCHは一切の暴落はしておりません。

MINAKABUチャートでも、その時間帯の最安値で43602円

一方コインチェックは 安値22,800円となっています

 

 


第2章 なぜ、そんなに安い価格で売れたのか

暗号資産取引所には、「注文板」と呼ばれるものがあります。

例えば、買い手側に次のような注文が並んでいたとします。

  • 4万円なら1枚買いたい
  • 3万9,000円なら2枚買いたい
  • 3万8,000円なら1枚買いたい
  • 3万5,000円なら3枚買いたい
  • 2万5,000円なら10枚買いたい

売り手側にも同じように、「この価格なら売りたい」という注文が並んでいます。

暗号資産では分かりにくいので、魚市場に置き換えてみましょう。突然ですが、豊洲市場です。

私がマグロを35匹持ってきたとします。市場には、「1匹目は4万円で買います」「2匹目は3万9,000円で買います」「3匹目は3万8,000円で買います」という買い手がいます。

しかし、買い注文の量が少なければ、途中から、「そのマグロ、2万5,000円なら買うよ」という人しか残っていないかもしれません。

そこで私が、「値段はいくらでもいいから、35匹全部すぐに売ってください」と注文したらどうなるでしょうか。

高い価格の買い注文から順番に売買が成立し、上の買い注文を食い尽くした後は、さらに安い買い注文と約定していきます。

これが「成行注文」によって価格が下方向へ滑る基本的な仕組みです。いわゆるスリッページです。

したがって私は、「値段が下がったから、即違法だ」と言っているわけではありません。

注文板が薄い市場で大量の成行注文を出せば、価格が下落すること自体は、市場の仕組みとして起こり得ます。

問題は、ここからです。


第3章 これは本当に個人と会社だけの問題なのか

通常であれば、取引所のサポートに、「なぜ、このような価格で約定したのですか」と問い合わせるところでしょう。私も問い合わせました。

しかし、ここで職業病が出ました。

一般の方が困ったときにカスタマーサポートを開くとすれば、行政書士は困ったときに六法を開きます。

今回、私が確認し始めたのは、資金決済に関する法律です。

暗号資産交換業者は、法律に基づく登録制です。誰でも自由に営業できる、何の規制もない「野良市場」ではありません。

登録を受けた暗号資産交換業者には、利用者保護、情報提供、財産管理、取引管理などに関する規制があり、監督行政庁による報告徴求、立入検査、業務改善命令などの制度も設けられています。

そこで私は考えました。

これは、単なる私とCoincheckとの民事上のトラブルだけなのだろうか。

もし、利用者が通常予想する価格から著しく離れた価格で約定する可能性があり、そのリスクが十分に分かる形で伝えられていなかったとすれば、利用者保護上、本当に問題はないのでしょうか。

急激な価格変動を防止する仕組みは、適切に設計・運用されていたのでしょうか。

試しに他の時間帯での約定履歴を確認すると、わずか4枚のBCHを売るだけで30000円まで暴落することがわかりました。

そもそもこの取引所には市場価格の43000円で買おうとする人は全くいなかったのです

わずか4枚の売却でも30000円付近まで暴落する様子↓

そもそも板に殆ど買いてがいない(BCHは暗号通貨のなかでも時価総額17位程度を維持しているマイナー通貨ではありません)

これが金融庁の許可を得た取引所の姿なのか?  売却すると市場価格をはるかに下回る価格でしか売れないのです。

利用者は当然市場価格付近で売れることを期待すると思います。

もちろん他の暗号通貨取引業者で同じようなことが起こるかも確認しましたが、起こりえませんでした。

今日もまた、知らずに売却して大損害を出す利用者が・・・・

 

注文を確定する前に、大幅なスリッページが生じる可能性を警告したり、注文を一時停止したりする仕組みは必要なかったのでしょうか。注文板の流動性、自己取引の有無、不公正取引を監視する体制、サーキットブレーカーの作動条件なども確認する必要があります。

また、買い板を全部買いつくしたのに、すぐ様相場が43000円まで元にもどる不自然な動き

売却したBCHを買ったのは誰なのか? コインチェック関係者による自己取引の可能性があるのか?

 

こうして問題が「個人と会社の紛争」から「登録業者に対する行政監督」に広がった瞬間、私の頭の中に、受験生なら一度は見たことがある条文が浮かびました。


第4章 出た、行政手続法36条の3

行政手続法36条の3。「処分等の求め」です。

ついに、実写版行政法の始まりです。

行政手続法36条の3は、簡単にいうと、法令に違反する事実があるにもかかわらず、その是正に必要な行政処分や行政指導が行われていないと考える人が、権限を持つ行政庁または行政機関に対して、

「必要な調査を行い、必要であれば処分や行政指導をしてください」

と申し出ることができる制度です。

ここで行政書士試験の重要ポイントです。誰が申し出ることができるのでしょうか。被害者本人だけでしょうか。法律上の利害関係を持つ人だけでしょうか。

答えは、「何人も」です。

被害者本人や直接の利害関係人に限られていません。行政書士試験が大好きな言葉です。ここで1点取れました。

もっとも、「何人も申し出られる」とはいっても、口頭で「この会社、怪しいから何とかしてください」と言うだけでは足りません。

申出書には、少なくとも次のような事項を記載する必要があります。

  • 申出人の氏名・名称と住所・居所
  • 法令に違反する事実の内容
  • 求める処分または行政指導の内容
  • その根拠となる法令の条項
  • 処分または行政指導が必要と考える理由
  • その他の参考事項

行政庁または行政機関は、申出があった場合、必要な調査を行い、その結果に基づいて必要があると認めるときは、処分または行政指導を行うことになります。

ただし、処分等の求めをしたからといって、申出人が希望した行政処分を、行政庁が必ず実施しなければならないわけではありません。


第5章 「処分してください」「分かりました」とはならない

あたりまえですよね

もしそうだったら怖い

 

仮に、私が行政庁へ行って、私「この会社を処分してください」
行政庁「分かりました。今すぐ処分します」
Coincheck「え?」
裁判所「え?」
世間「え?」

このようになる制度ではありません。

行政庁は、申出人の言葉だけで直ちに処分するのではなく、まず事実関係を調査します。本当に法令違反があるのか。どの規定が問題になるのか。行政処分や行政指導が必要なのか。どの程度の措置が相当なのか。こうした点を、行政庁自身が判断します。

したがって、私の立場も、「絶対に違法だから、Coincheckを処分しろ」ではありません。

この取引実態について、監督行政庁として必要な資料を確認し、法令違反や利用者保護上の問題がないか調査してください。

私が求めているのは、この点です。


第6章 試験では1行、現実では資料の山

行政書士試験では、「行政手続法36条の3は、処分等の求め」と覚えれば、ひとまず問題を解けます。しかし、現実にこの制度を使おうとすると、そう簡単ではありません。

まず、何が起きたのかを客観的に整理しなければなりません。

  • 取引日時
  • 売却数量
  • 注文方法
  • 個々の約定価格
  • 平均約定単価
  • 最安約定価格
  • 当時の外部市場価格
  • Coincheck内の注文板
  • 取引履歴
  • Coincheckからの回答
  • 翌日以降に同様の現象が再現したか
  • サーキットブレーカーが作動したか
  • どの法令が関係するか
  • どの行政庁が監督権限を持つか
  • どのような行政対応を求めるか

これらを証拠とともに整理する必要があります。

私は、注文・約定データの確認、価格急変防止措置、大幅なスリッページに対する警告や停止措置、流動性の状況、自己取引や不公正取引の有無、同様の現象の反復性などについて、行政庁に調査を求めました。

Coincheckからは、その後、当該時間帯について、システム障害、注文処理の遅延その他の異常は確認されず、BCH/JPYのサーキットブレーカーも発動していないとの回答がありました。

つまりCoincheck側の説明は、おおむね、「システムは仕様どおり動いており、注文板の状況に応じて取引が成立した」というものです。

しかし、システムが仕様どおり動いたことと、その仕様や運用が利用者保護上十分だったかどうかは、必ずしも同じ問題ではありません。だからこそ、監督行政庁による検証を求めているのです。

行政書士試験の受験生の中には、「条文なんて、実務で本当に使うのですか」と思っている方もいるでしょう。

使います。しかも突然、使うことになります。 仕事に関係ないのに使うことになったりします。

そして、自分のお金が絡むと、条文を読む速度と集中力が驚くほど上がります。

人間は、損をすると条文を読む   新しい格言


第7章 行政庁は調査結果を教えてくれるのか

ここで、処分等の求めに関する大きな問題が出てきます。

行政手続法36条の3は、行政庁に対して「必要な調査」を求めています。しかし、調査結果や処分の有無を、申出人へ個別に回答しなければならないとは明記されていません。

実際、監督行政では、事業者に対する調査内容や行政対応について、「監督上の情報であるため、個別の内容や結果は回答できない」とされることがあります。

行政庁に申し出ても、「必要に応じて対応します。ただし、結果は教えません」と言われた場合、申出人からは、実際に調査が行われたのかさえ確認できないことがあります。

ただし、次の2つは分けて考えなければなりません。

  1. 調査結果を申出人に通知しないこと
  2. 必要な調査自体を行わないこと

行政庁に結果の通知義務が明記されていないとしても、それによって行政手続法36条の3に基づく必要な調査まで不要になるわけではありません。

一方で、結果が通知されないことだけを理由に、「行政庁の不作為は違法だ」と直ちに主張できるかというと、そこにも法的な壁があります。


第8章 回答がなければ「不作為の違法確認訴訟」ができるのか

行政事件訴訟法には、「不作為の違法確認の訴え」があります。

これは、法令に基づく申請をしたのに、行政庁が相当な期間内に何らの処分や裁決もしない場合、その不作為が違法であることの確認を求める訴訟です。

しかし、行政手続法36条の3による処分等の求めは、営業許可や免許などを自分に与えてほしいと求める通常の「申請」とは性質が異なります。

申出人自身に対する処分を求める制度ではなく、法令違反の是正のため、第三者に対する処分や行政指導を求める制度だからです。

そのため、「処分等の求めをしたのに回答がない」というだけで、直ちに不作為の違法確認訴訟を提起できるとは限りません。

「結果を教えないこと」と「違法な不作為」は、同じではないのです。行政法は、ここから急に難しくなります。


第9章 行政が動かなかったら、義務付け訴訟なのか

それでは、行政庁に対して、「調査してください」「必要であれば適切な処分をしてください」と正式に申し出たにもかかわらず、必要な処分が行われなかった場合、どうすればよいのでしょうか。

ここで登場するのが、行政事件訴訟法上義務付け訴訟です。いよいよラスボスの登場です。

処分等の求めから義務付け訴訟まで、行政法のフルコースになってきました。

今回のようなケースで問題となる可能性があるのは、いわゆる非申請型義務付け訴訟です。

許可申請などに対する処分を求める申請型ではなく、行政庁が第三者に対して一定の処分をすべきなのに、その処分がされていないとして、裁判所に義務付けを求める類型です。

裁判所から行政庁に、「この処分をしなさい」と命じてもらう訴訟ですが、実際の要件は非常に厳しくなっています。


第10章 「重大な損害」「補充性」「原告適格」

非申請型義務付け訴訟では、まず次のような訴訟要件が問題になります。

1.重大な損害が生じるおそれ

一定の処分が行われないことによって、「重大な損害」が生じるおそれが必要です。単に不満がある、損をしたというだけでは足りません。

損害の回復がどれほど困難なのか、損害の性質や程度、求める処分の内容や性質などを踏まえて判断されます。

今回、私個人に約41万円の価格差が生じたことだけで、直ちに「重大な損害」が認められるとは限りません。

同様の取引環境が放置されることにより、多数の利用者に同種の損害が繰り返し発生するおそれがあるのか。そうした構造的な問題まで示せるかが重要になると考えられます。

2.その損害を避けるため、ほかに適当な方法がないこと

これは、一般に「補充性」と呼ばれる要件です。

民事訴訟でCoincheckに損害賠償を求める方法はないのか。暗号資産交換業者の自主規制団体による苦情処理や紛争解決手続は利用できないのか。消費生活センターへの相談など、ほかの方法では救済できないのか。

そのような手段がある場合、行政庁に対する義務付け訴訟でなければ損害を避けられないといえるかが問題になります。

考えられる全ての方法を試し、ダメであった証拠を集める必要があります。

3.法律上の利益があること

誰でも利用できる処分等の求めとは異なり、義務付け訴訟は誰でも提起できるわけではありません。

行政庁に一定の処分をするよう命じることを求めるにつき、「法律上の利益」を持つ者である必要があります。

処分等の求めは「何人も」できる。しかし、義務付け訴訟は「何人も」できるわけではない。

ここは、行政書士試験でも非常に重要な違いです。

受験生のみなさんが嫌がる単語が、一気に3つ出てきました。

  • 重大な損害
  • 補充性
  • 原告適格

しかし、これを全部クリアしても、まだ終わりではありません。


第11章 ラスボスには第2形態がある

訴訟要件を満たしたとしても、裁判所が直ちに行政庁へ処分を命じるわけではありません。

最終的に義務付け判決が認められるためには、さらに本案上、次のいずれかが必要です。

  • 行政庁がその処分をすべきことが、処分の根拠法令から明らかであること
  • 行政庁が処分をしないことが、裁量権の範囲を超え、または裁量権の濫用になること

つまり、行政庁に一定の裁量が認められている場合、「私は処分が必要だと思う」というだけでは足りません。

処分をしないという行政庁の判断が、法的に見て裁量権の逸脱・濫用に当たるところまで主張・立証しなければなりません。

義務付け訴訟というラスボスには、第2形態があります。相当に高いハードルです。

今回の法律構成 流れ

行政手続法36条の3
処分等の求め・必要な調査

資金決済法63条の10
Coincheckの利用者保護上の義務

資金決済法63条の16
金融庁が発令できる業務改善命令

行政事件訴訟法37条の2
業務改善命令を求める非申請型義務付け訴訟

一番短くいえば

「資金決済法63条の16の業務改善命令を、行政事件訴訟法37条の2によって義務付けられるか」

が、訴訟の中心命題になります。

ただし、勝負になるのは、Coincheck側の問題だけではなく、

  • 私に法律上の利益があるか
  • 今後の重大な損害のおそれがあるか
  • 民事訴訟などでは防げないか
  • 金融庁が処分しないことが裁量権の逸脱・濫用といえるか

という点です。現時点では「戦える構成はある」が、「認容までのハードルは非常に高い」という状況です。

 


第12章 今回の事件を行政書士試験の問題にすると

今回の出来事を、行政書士試験の教材として整理してみましょう。

民間企業との取引トラブルが発生する。

登録事業者に対する監督法令を確認する。

法令違反の疑いがあれば、行政手続法36条の3による「処分等の求め」を検討する。

行政庁が必要な調査を行い、処分や行政指導の必要性を判断する。

必要な処分が行われない場合、行政事件訴訟法上の非申請型義務付け訴訟が可能か検討する。

重大な損害、補充性、原告適格を確認する。

さらに、処分をすべきことが法令上明らかか、処分しないことが裁量権の逸脱・濫用に当たるかを検討する。

こうして並べると、めちゃくちゃ行政書士試験です。私も、このような形で行政法を復習することになるとは思っていませんでした。


第13章 私が本当に問題にしたいこと

今回、私自身に生じた約41万円の価格差は、もちろん重要な問題です。しかし、私が行政に問題提起している理由は、それだけではありません。

一般の利用者が、通常の価格で売買できると思って注文を出したところ、想像を超える価格まで下落して約定してしまう。しかも、そのリスクが利用者に十分分かる形で伝えられていない。

もし、そのような取引環境だったとすれば、利用者保護として本当に十分なのでしょうか。

海外や通常の取引所では起こり得ない相場と逸脱した売却価格 このような金融庁許可業者の騙しのような買取を容認しているようでは、暗号通貨は見えないリスクが大きすぎて怖いという認識がひろまり、安心して暗号通貨が使えない世界から取り残された国になってしまうというマイナスの要素しかないと私は個人的に考えております。

一方で、

これは単に流動性の低い市場で成行注文を出した結果であり、利用者自身が理解すべき取引上のリスクである。

という結論もあり得ます。

だからこそ私は、最初から答えを決めず、行政庁に、「必要な資料を確認して、調べたうえで判断してください」と求めています。

調査の結果、問題がないのであれば「問題なし」。問題があるのであれば、必要な行政指導や処分を検討する。それが監督行政の役割ではないかと考えています。

※通常想定しうるリスクの限度を明らかに超えているのは明白だと私は思っております。


第14章 訴訟になればクラウドファンディングも検討する

今後、本当に行政事件訴訟まで進むことになれば、当然、費用も時間もかかります。その場合には、クラウドファンディングによって訴訟費用を募ることも検討しています。

ただし、目的は、「みんなでCoincheckを倒そう」ということではありません。

私が司法の場で確認したいのは、次のような問題です。

  • 暗号資産取引における利用者保護とは何か
  • 極端に薄い注文板に対して、取引所はどのような警告や防止措置を講じるべきか
  • 監督行政庁は、処分等の求めを受けた場合、どこまで調査すべきか
  • どのような場合に行政処分や行政指導が必要になるのか
  • 行政庁が調査結果を申出人に知らせないことは、制度上どこまで許されるのか
  • 行政が動かない場合、国民はどこまで裁判によって行政を動かせるのか

仮に本当に訴訟まで進んだ場合には、私が運営する「行政書士独学応援チャンネル」チャンネル登録4万人で、訴状の作り方、訴訟要件、原告適格、重大な損害、補充性、行政側の主張、裁判所の判断などを、行政書士試験と結び付けて解説したいと思っています。

まさに、「本人訴訟型・行政法講座」です。


行政法は、遠い世界の法律ではなかった

行政法を勉強していると、遠い世界の話のように感じることがあります。

行政処分。取消訴訟。義務付け訴訟。差止め訴訟。原告適格。重大な損害。裁量権の逸脱・濫用。

「いったい、いつ使うんだ」と思う方もいるでしょう。

しかし、実際に自分の生活や財産に関係すると、行政法は突然、非常に現実的な法律になります。

今回、私は行政手続法36条の3の「処分等の求め」を、本当に使うことになりました。そして今、行政事件訴訟法上の義務付け訴訟まで、現実の選択肢として検討しています。

行政書士試験の受験生のみなさん。もし本試験で「処分等の求め」が出題されたら、今回の話を思い出してください。

行政手続法36条の3――あの変な行政書士がCoincheckの件で本当に使った条文。

たぶん、もう忘れないと思います。

今後、行政機関がどのように対応するのか。調査や行政上の措置が行われるのか。本当に訴訟まで進むことになるのか。進展があれば、YouTubeや当ブログで続報をお伝えします。

行政法が苦手な受験生のみなさんも、大丈夫です。自分のお金が絡むと、行政法は驚くほど頭に入ります。

ただし、繰り返しますが、おすすめの勉強法ではありません。


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