警察窓口で車庫証明が受け付けられない問題
車庫証明の申請は左程難易度の高いものではなく、個人でも申請できてしまいます。
しかし、少しイレギュラーなケースの場合必要書類を集めていても警察窓口ではじかれてしまう事があります。
必要書類
4枚複写の申請書 (東京都以外)
配置図及び地図
自認書、または使用承諾書
車庫証明の書類に対する細かさについては同じ県内の警察署であっても雲泥の差があります。
北九州地区でいえば小倉北警察署、飯塚警察署、行橋警察署、は親切で申請者に協力的ですが、そうでない警察署も一部存在していて、担当者によって細かい点を指摘され受理されなかったり追加資料を求められたりすることがあります。
基本警察官の指示には従ったほうが良いのですが、あまりに理不尽な独自ルールを要求してきた場合でもしっかり対処できるように、車庫証明に関する知識をつけておくことは、申請を業とする行政書士には必須だと思います。
今までの経験上、福岡県内でいえば豊前警察署や八幡西警察署、福岡東警察署の車庫証明は癖があり、必要書類を揃えていても、追加書類を求められたり、また日付などに抜けがあったり追記する必要がある際に細かいことを言ってきて受理されないケースが多々見受けられました。
車庫証明の趣旨は保管場所が適正に確保されているかの確認であり、申請者は基本素人なのだから書類に若干の不手際があるのは当然で、そこを協力的でなく、拒否するようなことをすれば市民に不利益が生じてしまいます。
同じ福岡県内でも、警察署によって言うことが違う(独自ルール)ことが頻発しております。
行政手続き法 第七条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。
通達を読んでない車庫証明窓口が存在し、違法な行政指導をするケースが存在する
車庫証明の運用にあたっては警察庁から通達が出ており、それに従うようになっております。
申請等の際に規則に定められた必要書類が全て提出されているのであれば、警察署長は当該申請等を適切に受理しなければならない。すなわち、当該警察署が所在する都道府県警察において作成・配布した様式(以下「自県様式」という。)以外の申請書等又は添付書面が用いられていることを理由に当該申請等を不受理にしたり、申請等の際に添付することが必要な書面として規則に定められていないものの添付を求め、この提出又は提示がないことを理由に当該申請等を不受理にしたり、申請等を行う者にそのような誤解を与えるような対応をしたりしてはならない。
ここに記されているとおり、車庫証明の必要書類が適正に提出されているにも関わらず、規則に定められてないものの添付を要求したり、その提出提示がないことを理由に不受理にしたり、不受理になるような誤解を与える対応をしてはならないとなっている。
警察署によっては、間違った運用を市民に要求し、こちらが間違いを指摘しても認めない、又はより不利益な待遇をしてくることがあります。
今まで実際に警察官に要求され不受理をほのめかされ、または受理すらしてくれない、申請を止めたケースの例をだすと
・事故で廃車した車両を同じ場所で車庫を取る際に、廃車している証拠として自動車修理工場に納車証明を作成させて持ってくるように言われた
・医療法人が自身の敷地で車庫申請をした際に、お客様が駐車場に止めないように、敷地内に白線またはバリケードを付けるよう指示 (何の権原があって言ってるのか?)
・医療法人が屋号(〇〇病院)という看板しかなく、正式な法人名が建物に記されていないので、〇〇病院と医療法人が同じだとわかる書類をもってこないと車庫証明はでない
・東京に住民票のある経営者が、福岡県内の別宅で車庫証明をとるのは不可能だと断られた
・使用の本拠と違う場所で車庫をとる際に、2通以上の公共料金引き落とし明細を求められ、申請が受理されなかった
必要書類以外の任意書類は、求められたら基本協力する姿勢は見せた方が良いかと思いますが、あくまで行政指導(任意)であり、従わなかったからといって不利益な扱い(申請を止める、遅らせる、受理しない)をするのは行政手続法第32条違反であるということになります。
なので、基本警察窓口には従った方が良いのですが、どうしても遅らせるわけにはいかない申請の場合は通達を勉強して正しく主張する必要も場合によってはでてくるわけです。
行政手続き法 第三十二条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
車庫飛ばしを防ぐために取り下げを狙っている
これは私の感じていることで、実際どうなのかはわかりませんが、警察官はその署独自の運用方法に沿わない申請は、取り下げさせようとしてくるのだと思います。
法定書類は不備なく揃っているのに、任意書類がないことを理由に許可を出さないことが難しいので、いろいろ追加書類を増やして出せないなら取り下げるように誘導しているのではないでしょうか? 真相はわかりません
自動車の使用の本拠の位置として認められるには
自動車の使用の本拠の位置とは、原則として、自動車の保有者その他自動車の管理責任者の所在地をいい、具体的には、自動車を運行の用に供する拠点として使用し、かつ、自動車の使用の管理をするという実態を備えている場所であるか否かで判断する
例えば、単なる貸し車庫等は、保管場所とはなっても、使用の本拠としては要件が満たされていないことになる。
よくある相談で、法人の登記されている以外の営業所や車庫での申請や、個人の住所地以外の実家などでの申請である。
これらの場合は、その場所が上記通達の内容に合っているかを判断するために、追加の任意書類の提出には協力したほうが良いと思います。
基本警察官の指導には従う
いくら任意書類だからといって、全く協力する気を見せないのは問題です。
使用の本拠と住所地が違う等、なぜそこが使用の本拠にあたるのかという疎明には協力する必要があると思います。
そうでないと、どこでも使用の本拠としてしまい車庫証明が取れてしまいます。
警察官が、法定書類以外を求めてくることには理由があるので、それを疎明するように協力する姿勢は大事だと思います。
法定書類の記載不備に関しては従う
行政書士の申請として、よくあるのが、申請者の氏名のよみがながわからない、電話番号がないなどで申請が止まるケース
これらの場合においても、申請の柱となる車両の型式、車体番号、寸法、使用の本拠、保管場所の住所、申請者の住所が不備なく記載されていれば、基本受理するような運用となっております。 ですので、それらがわからない場合でも受理してもらって後から報告すれば許可がおりること自体には影響がありません。
また、使用承諾書の日付を未来日 例えば5月25日に申請するのに、 使用承諾書の日付が5月26日以降~となっていた場合は受け付けられません。
これに関しては、車庫証明がおりる頃には使用承諾の期間にはいっているだろうというのは通りませんのでご注意ください。
使用承諾の期間は基本1か月以上あれば文句をいわれません。 逆にこんな短い使用承諾期間だとダメじゃないの?と不安になりますが、問題なくとおっております。
このようにたかが車庫証明といっても、ケースによっては難しいケースがあるので、不安な方は専門の行政書士に相談してみるのも良いかと思います。